2002年8月17日 (土曜日) 快晴 最高気温25度

Edingburgh - Melrose - Durham - Hartlepool - Rosedale Abbey


昨日、10時前に寝てしまったので、朝6時には目が覚める。
荷物をパッキングして、車に積み込んでしまってから7時半に朝食。テーブルの上にオークニーのオートケーキというおもしろいものが出ていた。これはオート麦のおせんべい、といった感じ。ちょっとしょっぱいクラッカー風の食品で、いかにも食物繊維が多くて健康によさそうな歯ごたえだった。オークニー諸島の伝統的な食事なのだろうか。

そういえば、このダンステイン・ホテルは、スコットランド北部のオークニー諸島からの魚を自慢にしている、との記述をウェブサイトで見たことを思い出した。そこで、クックド・ミールは、キッパーを頼むことにした。やはり魚を名物にしているだけあって、ここのキッパーはスモークの加減がちょうど良く美味だった。


朝食の際の、オークニー・オートケーキです。

8時過ぎににチェックアウト。土曜日なので、エディンバラ市内はがらがらにすいていた。
外周道路A720に出るまで手間取ったが、順調にA7に乗り、イングランドとの国境地帯であるボーダーズ地方を目指す。このあたりの景色は優しい。なだらかな起伏と緑の連続。昨日のハイランド風の風景とはかなり違う。速度60マイルだとすぐにガラシールズに到着した。ガラシールズはまあまあ大きな町。ここで進路をジェドバラ方面へとる。


Melrose
ほどなくメルローズに到着。
この町は、ガイドブックにも「英国人がとてもかわいいという町」と書いてあったが、確かにフラワー・バスケットの数が多く、なごめる町だった。メルローズの名物は、なんと言ってもメルローズ・アビイ。かつての修道院の廃墟であるが、ここのは珊瑚色の石がとても美しいと聞いていたので、訪れてみたい場所だった。

ここのアビイは確かに荘厳なものであった。その昔、スコットランドとイングランドとの戦争や、宗教改革などで破壊されてしまったらしいが、まったくもって悲劇である。ボーダーズからヨークシャーにかけての一帯には、おびただしい数のアビイの廃墟があり、それぞれに物悲しい歴史があるらしい。

アビイの横にあるツーリスト・インフォメーションでアビイのシンブル購入。また、ウェブサイトで調べたら、このメルローズにはスコットランドで唯一のテディ・ベア・ミュージアムがあると聞いていたので、インフォメーションで確認してみたが、すでにオーナーが売却してしまっており、ミュージアムそのものもなくなっているとのこと。残念。


メルローズの中心部はお花のディスプレイが美しい。右はメルローズの一番のランドマーク、メルローズ・アビイ。


Border of Scotland and England
メルローズを出たあと、ジェドバラを経て、イングランドとの国境方面に向かい、ダラムを目指す。
国境の境界線近くのパーキングには「ここからイングランド」と書いた石が置いてあった。この石の裏側は「ここからスコットランド」となっていた。

この石は上り車線、下り車線の両方にあり、それぞれの横で、キルトをはいたおじさんが「スコットランドはこれでおしまいだよーん、スコットランドはここからだよーん」という感じで、バグパイプの演奏をしていた。上り車線は青いキルトのパイパー、下り車線には赤いキルトのパイパーだった。なかなか達者な演奏で、写真に写っているバグパイプのケースに1ポンド入れてきた。


国境地帯にて。パイパーのおじさんが見送ってくれた。右はイングランドとスコットランドのボーダーのプレート。

チェビオット丘陵の国境を越えると、イングランドのノーサンバーランドに入る。
A68はあくまでも一直線。ただし、それは水平面の話で、垂直面は山あり谷ありで、まるでジェットコースターに乗っている気分になる。はるか遠くには地平線が見渡すことができるほど、まわりにはなーんにもない。こういう荒れ果てた地域が国境の南にあるからこそ、スコットランドは独立を保つことができたんだろうなあ、と感慨にふける。

ここまで来ると、風景を超えた「超風景」であり、他の場所ではおよそお目にかかれない景色である。当然、くるまの量は少なく、スピードが速い。後続車がバックミラーに写ったかな、と思うまもなく70マイルオーバーでびゅんびゅん追い抜いていき、じきに見えなくなってしまう。


Durham
A68からいったんM道路みたいな片側二車線のA69に入り、すぐにA68に戻る。
A692からA691を経てダラムへ到着。駐車場探しで街中をぐるぐるまわり、町の北側のパーキングに駐車する。早速大聖堂に向かう。

英国を代表する大聖堂の一つだけあって、さすがに素晴らしい。中に入ると、ステンドグラスの美しさに圧倒される。ちなみに、このダラム大聖堂は入場料がいらない。でも「一人3ポンドいただければ、ずっと無料でオープンしていくことができるのですが、、、、。」と寄付を募っていた。

聖堂の中では、音楽の生演奏をしていた。オーボエコンチェルトだった。アマチュアオーケストラだと思うが、かなり達者な演奏だった。また、ここのショップで、英国に来て以来始めて日本人に出会う。周りの友人たちとの会話を漏れ聞くと、どうもダラムの大学に短期留学している学生らしかった。
大聖堂からパーキングに戻る途中の広場で、青空マーケットをやっていた。フルーツ、アイスクリーム、衣料品、絵画、古本など、いろんなものを売っていた。


なーんにもないノーサンブリアの道。真ん中はダラムの大聖堂。右はダラム大聖堂の前の青空マーケット。


A19
ダラムからしばらく走ってA19へ向かう。
燃料計を見ると、ほとんどエンプティとなっており、たまげる。A19をしばらく走って、ペトロルステーションを探すが見つからない。A19は片側二車線の高規格道路なので、路上でガス欠を起こしたら、えらいことになる。キャッスル・エデンという標識の出たところでA19を降りてペトロルステーションを探すが、そんなものがあるような大きな町ではなかった。

しょうがないので、北海沿いの町を目指す。妻のナビゲーションがだいぶ上達し、地図上でどこを走っているか分かるようになったので助かる。ブラックヒルまで出てようやくMOTORのガソリンスタンドを発見。やれやれ。早速給油。グリーンの給油パイプで、UNLEADED(無鉛)のペトロルを入れるが、1リットルあたり73ペンス。日本円に直すと、1リットルあたり146円と安くはない。


Hartlepool
給油後、本来のルートに戻るべく南へ走る。ハートルプールあたりで錨のマークを発見。Maritime Museum(海事博物館)というのがあるらしい。早速そちらに向かってみると、ネルソン提督の乗艦であり、イギリス艦隊の旗艦であったHMSトリンコマリー号がドックに保存してあった。

まさか、こんなところで英海軍のフリゲートに遭遇するとは思っていなかったので、帆船ファンの私としては喜びもひとしおである。トリンコマリー号の内部は見学できるようになっており、大砲の音なども再現できるようになっていて、かなり見ごたえのあるものだった。博物館やショップも充実しており、スタッフのおばちゃんもおせっかいすぎるほど馬鹿丁寧で、ひまなんだな〜と思ってしまう反面、細かい説明がありがたかった。たまには道に迷って見るのも一興である。


HMSトリンコマリー号。ハートルプールの海事博物館にて。

ハートルプールを出たらもう4時を回っていた。当初の予定では、北海沿いのウィトビーの町を訪れてからノース・ヨーク・ムーアに向かうつもりでいたが、もう海もトリンコマリー号で見たし、時間も遅くなってきたのでウィトビーはパスし、ノース・ヨーク・ムーアに直行することにした。(あとでリーズのYS君に聞いたら、「この日はぐんぐん気温が上がったので、ウィトビーあたりは海水浴客でごったがえしだったと思います。行かなくて正解ですよ。」、とのことでした。)


A19 - A174 - A171
A19のティーズサイドあたりはM道路のように3車線から4車線ある。さすが産業地帯である。
A19 からA174に入り、さらにA171にはいってウィトビー方面に走る。途中、カスルトンの表示を見つけ、右折して田舎道に入る。ちょっと丘を登り始めて、視界が広がったと思ったら、いきなりヒースと羊にかこまれた。ノース・ヨーク・ムーアに入ったことを実感する。

とにかくすごい景色である。スコットランドのヒースも素晴らしかったが、ノース・ヨーク・ムーアのヒースは、まるで赤紫の海で、次元が違う。こればかりは写真では分からない。行ってみて、囲まれてみて、始めて分かる世界である。興味のある人は、ぜひ訪問して欲しい、絶対に後悔しないから。


ノース・ヨーク・ムーアの道路。地平線と赤紫色のヘザーの海。まさしく絶景。

この道路、羊さんがそこら中に転がっているので、あぶなっかしくてしょうがない。SHEEP ON ROADという警告標識がたくさん出ている理由が良く分かる。羊さんをよけながら走っているうちに、ローズデール・アビイへ曲がる道を行過ぎてしまう。例によってしばらく走ってUターン。まがりっぱなのところに羊さんの轢死体があった。やはり注意していても、近寄ってこられたらどうしようもないらしい。


Rosedale Abbey (Milburn Arms Hotel)
10分ほど走ると、ローズデール・アビイの村に到着。さて今日のホテルは、、、と探すと、一番にぎやかなところに本日の宿泊先、ミルバーン・アームズ・ホテルがあった。

宿泊の予約をしたときに、ホテルのオーナーが「その日はショーをやっているから大混雑していると思うよ」、とE-MAILに書いていたが、それは本当だった。村中が混んでいる。特にミルバーン・アームズはショーの幹事なので、ホテルスタッフはみんな、すごく忙しく働いている。レセプションでベルを鳴らしても誰も出てこない。よく見ると、「今日は忙しいからみんなバーに行っている。だからバーで聞いてね」と、張り紙がしてあった。早速バーに出向き、そこのおねえさんにチェックインを頼んだ。


ミルバーン・アームズ・ホテルにて。居心地のよい味わい深いホテル。

30番の部屋をあてがわれた。「おかしいなあ、このホテル、客室は11ぐらいしかないはずだが、、、」と思いながら、部屋に入ると、予想以上に良い部屋だった。この部屋は「1名につき37ポンド」と、すごくお買い得な部屋だったので、予約したときにはあまり期待していなかったのだが。

部屋は広大と言うわけには行かないが、とっても大きなバスタブもちゃんとついているし、窓の外にはローズデール・アビイのうっとりするような景色の広がるかわいい部屋だった。でもなぜ部屋番号が30なのかはいまだに謎である。

さっそくローズデールの村を散歩する。お店が1軒しかない、小さなかわいい村である。また、村の名前が Rosedale Abbeyとなっている割には、アビイの廃墟はほとんど残っていない。

その後、村のショーを見に行く。ミルバーン・アームズの裏の広場がショーの会場だった。子供の乗馬大会をやっていた。障害物競争である。無事にクリアすると、「おー!」と観衆から歓声と拍手がわく。どうも観衆はすべてこの村の近くの人らしく、競技者もみんな顔見知りらしい。午前中からドッグレース、馬や牛の品評会、苗の即売などをやっていたらしく、のどかな田舎の農業ショーだったのであろう。


ローズデール・アビイでのショー。右は露店のディスプレー。

7時過ぎにディナーに出かける。
このホテルには、フォーマルなレストラン「プライオリー」と、より親しみやすいバー(ウェブサイトには格好つけてビストロ、と紹介されていましたが、現地ではバーと呼んでいました。)の、二つの施設がある。バーのほうは、夕方から満員で、すごく繁盛していた。しかし、われわれが入って行ったのは、バーではなく、レストランのほうである。

なぜなら、このレストラン、こんな田舎のホテルには珍しく、The AAの赤ロゼット2個を獲得しているからなのである。おおいに期待していて注文する。妻はスターターがシーフード、メインコースがビーフ、そしてデザートがイチゴのホットプディング。私はスターターが生ハムの盛り合わせ、メインがポーク、デザートは杏のスフレ。

The AAの赤ロゼット2つは伊達ではなく、確かに美味だった。また、量がすごかった。大食いの私がおなかが痛いぐらいである。メインだけでも良かったと思う。

食後、バーでホテルオーナーのベルト氏に会う。この人とE-MAILをやりとりして予約をとったわけだが、向こうから目ざとくこちらを見つけてくれ、挨拶に来てくれた。「ディナーはうまかったか」とか、「ショーは楽しんだか」とか、気さくに話してくる。


The AAの赤ロゼット2個の認定。中はは私の頼んだ前菜。美味。大量。右はミルバーン・アームズの夜景。

夜、リーズのYS君に電話。「今日、ノース・ヨーク・ムーアに下見に行ってきた」とのこと。「ローズデール・アビイからハットン・ル・ホールの間の道が、ヘザー満開でものすごいことになっている。またローズデールのチムニー・バンクも必見」と言う。ぜひ見にいかなくては。PCに日記を打ち込んで就寝。


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