2001年8月14日 (火曜日)
ノーフォークからサフォークへ
Coltishall - Horning - Great Yarmouth - Potter Heigham - Hintlesham


いつもよりゆっくりとした朝を過ごす。8時過ぎに起床し、9時ちょっと前に朝食。
朝食後、ホテル近辺を散歩する。ホテルの前が芝生になっていて、そのままビュア川の岸辺につながっており、ボートがもやってある。うーん、ランサムの世界だなぁ。野鳥がいっぱいいる。近寄っても逃げない。こいつら、他の国では暮らしていけないかもなぁ。特に日本では。^^;


昨晩チェックインの際はもう暗くて写真の取れなかったホテル。ホテル前の芝生はそのままビュア川につながってている。

昨日迷った、教会のあたりまで散歩していく。コルティシャルの朝はとても静かだ。車もあまり通らない。
ホテルの裏はガーデンになっており、バラやハーブが植えてある。ホテルを飾る花も、買ってきたものではなく、このガーデンで取れたものを使っているとのことだった。


教会と、その横の道にあるノーフォークミードの入り口の看板。右はホテルの裏庭に咲いていたバラ。

部屋に帰り、チェックアウトの準備に取り掛かる。
昨晩「エステ、エステ!」と言っていた妻は、面倒くさくなったらしく、もういいよ、とのこと。タイムリミットの11 時ちょっと前にチェックアウトした。
部屋のテディベアがノーフォーク・ミードのロゴ入りセーターを着ており、そのセーターがあまり可愛かったので、「買える?」と聞いたら、セーターだけでは駄目で、ベアごと買うなら10.5ポンドとのこと。在庫はないとのことなので、部屋にいた子をそのまま貰い受けてきた。


ノーフォークミードのレセプション。デスクが一つだけのシンプルさ。右はホテルのエントランス。

ホテル出発後、コルティシャルのビレッジ・ストアに立ち寄る。
コンビニにしては種類が多いし、スーパーにしてはコンパクトなお店だった。スパイス類やジェリーの素など、細々とした日用品を購入。レジに行ったら、「こんなにスパイス買ってどうするの?」という怪訝な目つきで、レジのおばさんが私を見る。
「我々は観光客で、こういうイングランドの日常的なものをお土産にするつもりなんです。」、といったら合点がいったらしく、「あら、そう!でもコルティシャル製のものは、なんにもないわよ!あ、ブロッコリはそうだけどね。」と笑う。


コルティシャルのスーパーマーケットにて。日用品を買い込み、不思議がられる


Horning
その後、アーサー・ランサムの小説の舞台となった村であり、ノーフォーク・ブローズの中心地であるホーニングへ向かう。
村に入ってすぐのところに大きな駐車場に車を停め、「桟橋はこっち」の矢印に従って、岸辺に向かう。途中の住宅の前庭が可愛い。どこも花だらけで、いかにも「英国の住宅!」という感じだった。マーマレード色のデブ猫まで出てきて、「英国の住宅!」というイメージをさらに強化してくれていた。


ホーニングの桟橋に向かう道で出会ったマーマレード色の豚猫。

岸辺につくと、いきなりガフリグの古いスループが目の前の川を横切っていくではないか!
慌ててシャッターを切る。続々と古い木造船が登場。はるかかなたには、ブローズ名物の細長い帆船の姿も見受けられる。うーん、凄い眺めだなあ。ランサムファンには拝みたくなるような風景である。

村の郵便局兼お土産屋さんに入ると、しっかりレッドフォックス版のランサム・サーガが並んでいる。
早速「COOT CLUB(オオバンクラブの無法者)」を購入した。アンブルサイドで購入したものと含めて4冊目である。店のおばちゃんが「ランサムが好きなの?」と聞くので、「ランサムの小説が私をこの村に連れてきたのです!」と答えたら、「ここは本場だから楽しんでいってね!」とのことだった。


ホーニング桟橋を通過するガフリグ木造船。右は郵便局においてあった、ランサム・サーガ。

また、ランサ・ムサーガにも出てくるパブ、スワン・インを発見して喜ぶ。でも、よくよく考えてみれば、300年ぐらい前のパブだって現役でがんばっているのが英国なのだから、たかだか70年前ぐらいの建物が残っているのに感動する必要もないのだが。^^;


オオバンクラブゆかりのスワン・イン。


Ladhum - Potter Heigham - Great Yarmouth
ホーニングを後にして、次のランサムゆかりの地、ポッターヘイガムへ向かう。
途中のラドハムブリッジで、船の中古屋さんがあった。味のある木造船が、たった1万ポンドぐらいで売りに出されており、羨ましいことこの上ない。

ポッターヘイガムに到着すると、付近は観光客だらけ。ノーフォーク・ブローズの人気スポットなのだろう。
一応ランサム・ファンとしては、この橋を写真に収めて満足する。しかし、こんなに低い橋の下を、本当に船で通過できるものなのだろうか?

その後、グレートヤーマスを目指す。ヤーマスはかなり大きな街だった。
駐車場に車を止めて歩くが、港まではかなり歩かなくてはならないことが分かり、断念してしまう。またブローズにひき返し、エイクル到着。ランサムの本に出てきた船着き場などを探すが、よくわからない。ランサムに興味のない妻が疲れてきたので、サフォークを目指して出発することにした。


ラドハムブリッジで売っていた木造船。日本円で200万円以下と安い!中はポッターヘイガムの橋。


Ipswich
A47をひたすら走り、そしてA140、A14と経てイプスウィッチへ到着する。
コンスタブルゆかりのイースト・バーグホルト村まで行こうか、とも思ったが、妻が疲れ気味なので、まっすぐ本日の宿、ヒントゥルシャム・ホールを目指すことにした。

ラウンドアバウトでヒントゥルシャムへの道路に入ると、なんと工事中でクローズになっている。
ポロの頭だけ突っ込んだ状態でまごまごしていると、工事車のあんちゃんが、「クローズだぞ、読めんのか?」と叫ぶ。ごめんごめんと、頭だけ下げながら、なおまごまごしていると、車を降りてこっちへやってきた。

「ヒントゥルシャムに行きたいんだけど?」、と言うと、「迂回路があるからこっちの出口から出て、最初のシグナルを左だよ。」、という。
さらに、ヒントゥルシャムホールに行くのか?と聞くので、「そう!」、と答えると、「しばらく行くとピンク色の大きなパレスがそれだ、いいか、ピンク色だぞ!ピンク!」、と、ピンクを強調して教えてくれた。顔は恐そうだが、存外に親切なあんちゃんだった。


Hintlesham Hall
おにいちゃんの言った通り、迂回路をしばらく走ると、本来の道に合流した。しばらく走っていくと右側にそれらしいゲートが見えてきた。慌てて曲がろうとしたが、なにしろイングランドの田舎道ゆえ、50マイルは出ているため、簡単には止まれず、そのまましばらく走ってからUターンして、ホテルまで戻る。

ヒントゥルシャム・ホールの敷地は広大で、ホテルのゲートから建物まで、数100メートルはある。ようやくウェブサイトで見たことのあるピンクに輝く建物が見えてきた。ヒントゥルシャム・ホールである。今回の旅行、最後の宿となるので、奮発してThe AAの赤星3つのホテルを選んだのだった。


ピンクの宮殿、ヒントゥルシャム・ホール。右は広大な庭園の一部。リスやウサギが走っていた。

今回の部屋は1階だった。部屋はシンプル系のインテリアだが、天井にはティンバーフレームが現われており、歴史の古い建物であることはうかがえる。また、窓辺には、「ご自由にお読みください」ということで、暇つぶし用のペーパーバックが数冊置いてあったが、その置き方がいかにも無造作な雰囲気でよかった。


ヒントゥルシャム・ホールのベッドルームにて。窓辺の本が気が利いている。

ホテル支配人からのウェルカムメッセージ、ゲスト関連のパンフを読む。食事の際のドレスコードがうるさい。ここはジャケット無しではルームサービスしか食べれないホテルのようである。

スーツに着替えようとしたら、スーツがしわくちゃになっている。荷物が増えてきたので、ヘンな形に押しつぶされたようである。
レセプションに行って、「このしわ、なんとかなりませんか」、と聞いたら、「ランドリー担当のものがいなくて分からないけど、きっと何とかしますから置いていってください。」とのこと。しばらくしたら、プレスしたスーツが出来上がってきた。

予約した7時ちょっと前にレストランに行くと、ラウンジでドリンクでもいかが、と進めてくれる。ラウンジは素敵な部屋が4つもある。その一つに案内され、メニューを渡される。早速メニューの検討に入るが、どれも想像力を掻き立てるうまそうなものばかりで困った。その最中に、オードブルがやってきた。美味である。AAの評価では赤ロゼット3つ、今回の旅行の中では最も評価の高いレストランであり、いやがうえにも期待が膨らむ。



ディナー前に通されたラウンジと、そこに持ってきてくれたホテルのおごりのオードブル。

そのうちに、レストランの準備ができた、と呼びにきてくれたので、レストランへ。7時の予約なので、我々が一番乗りの客かと思ったらすでに先客があった。会話を聞くとも無しに聞いていると、明らかに英語でない言葉。よく聞くと、やたらに子音が目立つ。
「イッヒ・ホッホ・ドイッチェ・ビッテなんたらかんたら(もちろん出鱈目^^;)・・・」どうやらこれはドイツ語らしい。V-Jデーの前日に、イングランドのレストランで食事をしているのが日本人とドイツ人とは、、、、、。イブリン・ウォーあたりが書きそうなブラック・ユーモアだなあ。

食事はすこぶるつきに美味だった。さすが赤ロゼット3個は伊達ではない。
スターターは妻がセロリとアプリコットのスープ、私はフォアグラ・マーマレードソース添え。味も繊細だし、盛り付けが素晴らしい。メインコースは妻がレモン風味の舌平目。少し分けてもらったら、チーズと一体化したソフトな味わいだった。私はポーク。生ハムの塩辛みがなんとも言えず美味しい。デザートは妻ががココナッツのパンナコッタ。私はホテル自慢のシャーベットとアイスクリームのバスケット。イングランドでも、ちゃんと探せば美味しいレストランはたくさんあるのだ。それなりにコストはかさむが、、、。

例によって、デザート後は、ラウンジでコーヒー。先程とは違うラウンジへ案内される。つまり、食前に軽くいっぱいやるラウンジと、食後のコーヒーでくつろぐラウンジをわけてある、ということである。
コーヒーもプチフールも美味しかった。このホテルの食事は、やはり今回のイングランドツアーの中でも最高だった。


コーヒーラウンジにて。ここの壁の色はくすんだ赤。意外に落ち着く色。

部屋に戻り、明日の帰国に備えて荷物の整理を行う。テディベアがどうしてもはみ出る。そりゃそうだ、ブロードウェイで2匹、ストラトフォードで1匹、ウッド・ノートンで1匹、ホウズで1匹、コルティシャルで1匹、合計6匹も買ってしまったのだから。手持ちにするしかないなぁ。

例によって、写真の整理とE-Mailのチェック。
ペンハリゴンズのバスジェルで優雅な気分になり、就寝。
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