2001年8月12日 (日曜日)
湖水地方からヨークシャーデイルズを経てハロゲイトへ
Windermere - Kendal - Hawes - Muker - Reeth - Masham - Harrogate


朝の天気は小雨。でも昨日の暗い雨降りに比べると、すぐ止みそうな期待を抱かせるぐらいには明るい。TVの天気予報でも、ヨークシャーデイルズ方面は回復に向かうとのことだった。

朝食は、さすがにフルイングリッシュブレックファストはしんどくなってきたので、ビュッフェのシリアルとヨーグルト、紅茶で済ませる。
妻は元気で、トーストを三枚も平らげていた。朝食後にチェックアウト。湖水地方での買い物が増えて、スーツケースは2個とも目方が増えており、動かすだけでもしんどくなってきた。


Kendal - A684
本日から裏街道巡りとなる。
本日までは、「コッツウォルズから湖水地方」と、英国観光のゴールデンルートを走ってきたが、今日からはヨークシャーデイルズ、イーストアングリアとマイナーな観光地巡りである。

ウィンダミアを経てケンダルへ向かう。
ケンダルは落ち着いた住宅街が続く町だったが、すぐに山道となった。A684を東に向かって走る。途中でM6の大ラウンドアバウトを通過していく。途中風力発電の風車を見かけた。YS君によれば、イングランド北部は、冬になるとゲイルという強風が吹くので、風力発電が可能なのだそうだ。

道中は、おだやかな起伏の丘と、緑の絨毯の連続だった。Sedberghを通過し、Garsdaleに入る。このあたりはカンブリア州でありながら、ヨークシャーデイル国立公園の一部となっている。
どこに目を向けても羊がいる。(でも、後輩のYS君の話を聞いたら、口蹄疫の影響で、今年は羊が大量に処理されてしまい、例年の1割ぐらいに激減してしまったらしい。例年並だったらどういう風景になっていたんだろう。^^;)

ヨークシャーの羊は、姿かたちが湖水地方の羊と違う。
顔が黒くて、角がくるりんと曲がり、足が細くて斑点模様がついている。Swaledale Sheepというのだそうだ。北イングランド高地の冬の寒さの中でも生きていける、ヨークシャー特有の種類らしい。


ポロの右後に見えるのが風車。右はSwaledale Sheep。

羊が大好きなので、今日も車を寄せて写真を撮る。昨日の羊と違って、人が近づいても逃げない。
また、口蹄疫の関係か、路上の要所要所に、車輪消毒用の毛布が道一面に広げてあった。この道路を通る車の車輪は、段差を乗り越える際に自動的に消毒される仕組みになっている。


近寄っても逃げない羊さん。右は車輪消毒装置。

Hawesの手前で、かわいい2両編成の列車が古めかしい陸橋を通過するのを見かけた。
後で地図を確認してみたら、Garsdale Headの陸橋のようである。これがセトル・カーライル鉄道である。ヨークシャーデイルズとカンブリアを結ぶローカル線だが、ビクトリア時代に建設された陸橋がたくさんあり、眺めのとてもよい路線らしい。一度乗ってみたいものである。

2両編成の可愛い列車。


Hawes
ホウズの町に入り、とりあえず駐車場へ向かう。
コッツウォルズや湖水地方と異なり、駐車券発行機のPAY HEREがない。つまり無料駐車場ということである。
町をぶらつくが、日曜日の朝ということもあって、ほとんど店がやっていない。しょうがないので、TICへ行く。ここも「P、i、トイレ」の看板が三点セットで出ていた。
ホウズにはかつて、Garsdale Headから伸びる支線の駅があったが、今は廃線になっており、その駅前広場がこの三点セットになっている。プラットフォームだったところには、蒸気機関車が静態保存されていた。
ここのTICには、ヨークシャーデイルズ関連グッズ、ウォーキング関連グッズがたくさんあった。Ordnance Survey(英国陸地測量部)の地図も、いろいろな縮尺のものがそろえてあった。
TICのおばちゃんに「日本から来たの?珍しいわね」と言われる。曰く、ほとんどの日本人は、ブロンテ姉妹で有名なハワースに行ってしまい、ホウズに来る日本人はとても珍しいらしい。

p
廃線になったホウズの駅。

ホウズを後にして、ミューカー方面へ向かう。
ウェンズリーデイルからスウェイルデイルへの山越えの道、Butter Tubs Passである。山道と言っても、そんなに険しい道ではないし、舗装もされており、バスまで走っている。峠の頂上から見る景色は確かに絶景だった。YS君がしきりに「見ないとその素晴らしさは分かりません!」と言っていたが、その通りの世界が広がる。これで天気がよかったら、この世のものとは思えない景色が見られるに違いない。Butter Tubs Passの名前の由来となった、穴ぼこは見つけることができなかった。


Muker
峠を過ぎて急な坂道を下る。B6270を東に進むと、ミューカーに到着した。知らずに通り過ぎてしまうほどの小さな町。「P」が見当たらないので、スウェイルデイル・ウーレンの前で路上駐車する。
この店はセーターの専門店だが、店に入って驚いた。日本人が2組もいる。今までコッツウォルズや湖水地方で日本人にあまり会わなかったので、まさかこんなマイナーなところで出会うとは思わなかった。さすがに羊毛の産地だけあって、品質の割には値段が安い。日本で買う半額以下である。


ホウズからバター・タブズ・パスへ向かう道にて。右はセーター屋、Swaledale Woolenの前。羊は作り物。

その後、可愛いスウェイルデイルの村を次々と通過。道は細いが、交通量がほとんどないので走りやすい。天気もだんだんよくなってきて、お日様が出てきた。


Reeth
そうこうするうちにビレッジグリーンの美しい、リースの町に到着。
車がたくさん止まっている。観光客が立ち寄る名所らしい。 YS君のお勧め通り、キングス・アームズで昼食。パブでの注文の仕方が分からなかったので、隣りの席のおじさんに注文方法を聞くと、親切に教えてくれた。バーで注文し、席で待っていればよいとのこと。私はローストビーフとヨークシャープディング、妻はチーズ&オニオンのジャケットポテト。くどいと聞いていたが、想像以上に美味だった。



リースの村にて。右はキングス・アームズのヨークシャー・プディング&ローストビーフ、そしてジャケットポテト。


Leyburn - Masham
その後、レイバーンを目指してさらにデイルを走る。相変わらずの緑の絨毯と羊ばかりの風景だが、飽きない。
レイバーンは、ごく普通の田舎町だった。すぐにマッサムへ向かう。ミドルハムに向かう途中、いかにも歴史のありそうな橋をわたる。マッサムに近づくと、まず教会の尖塔が見えてくる。道路を右折し、マッサムの広場へ。どういうわけか、消防のレスキュー隊のデモンストレーションをやっていた。BRYMOR(ブライマーと読むのでしょうか?)のアイスクリームを買う。2つで1.8ポンドだった。このブランドは、このあたりではよく見かけた。


レイバーンとミドルハムの間にかかる古い橋。右はマシャムのアイスクリーム屋、BRYMORのメニュー。


Ripon - Harrogate
その後、リポンへ向かう。ここは町の中心部を迂回するために、ラウンドアバウトの連続する町だった。また古い城下町のリプリーは気がつかないうちに通過してしまい、気がついたらそこはもうハロゲイトだった。
左側を目を凝らしていると、ほどなくマジェスティックホテルの看板が見つかる。あっけないほど簡単にホテルに着いてしまった。今までのホテルと違い、名前の通りとても大きなホテル。なにしろエレベーターがついている。ここは予約した際にバウチャーを発行してくれたので、チェックインはとても簡単だった。部屋に入り、さっそくリーズのYS君に電話。1時間以内に行くとのこと。


マジェスティックのベッドルーム。右は、庭園側から見たマジェスティック。手前に並ぶのは全部ロールス!

6時ぐらいにYS君がホテル到着する。20年ぶりだ。日本から持ってきた妻の手作りの梅干しと高山産のあられをあげたら「何よりです。」とのことだった。


Harrogate - Kirkby Overblow
とりあえず一緒に食事に出かけることにする。
YS君がカークビュー・オーバーブロウという小さな村のパブが美味しいというので、そこを目指す。定番メニューのステーキ&キドニー、ソーセージ、ハドックのフィッシュ・アンド・チップスを頼む。エールは地元産だった。英国の話、母校の話、音楽の話で盛り上がる。

明日以降のスケジュールの話になって、「ヨークには寄らずにノーフォークを目指す」、と言ったら、「ヨークは一度は見ておいたほうがいいですよ!特にヨーク・ミンスターは、デイルを見せても感激しなかった人が、感動していましたから。」と言う。今まで彼のアドバイスに従って、失敗したことがなかったので、明日はまずヨークによっていくことに決定する。


カークビュー・オーバーブロウのTHE STAR & GARTER。うまいメシを出した。


Kirkby Overblow - Harrogate
8時過ぎにハロゲイトに戻り、JAZZを聞きに行く。
YS君に調べてもらったら、チェルトナム・パレードのハロゲイト・ブラッセリーというお店でライブをやっているらしい。ホテルから歩いていてすぐだった。
だしものはギターの弾き語りだった。スタンダードのGod Bless The Child、オーティス・レディングのDock Of The Bayなど、ジャンルを問わずに歌う人で、なかなかごきげんである。しかも、テーブルチャージなどはなく、飲み物代だけでOKだった。

そのあと、まだ日差しが残っているので、YS君の案内でハロゲイト見物をする。有名なBetty's Tea Roomを発見。明朝、行ってみよう。
YS君と別れるとき、彼が「冬のヨークシャーも良いですよ!」と言う。風が強くて、本来のヨークシャーが味わえるという。うーん、また冬に来たいものだ。

メールチェック後、翌日の大移動のルートを頭に入れ、就寝。

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