2001年8月8日 (水曜日)

オックスフォードからコッツウォルズへ
Oxford - Bibury -Barnsley - Bourton-on-the-Water - Broadway


Oxford
時差ぼけなのか、5時半には目が覚めてしまった。
あいにく天気は曇り。シャワーを浴びて、TVをつける。天気予報によれば、「本日は曇り時々晴れ、にわか雨」との事。うーむ、どんな天気になっても対応可能な万能予報だなあ。^^;
しかし、後になって実感したのだが、これが典型的な英国の一日の天気だったのである。

7時に階下のラウンジに降りて行く。とても歴史を感じさせる素敵なラウンジで、壁の色はややくすんだ赤。この「くすんだ赤」は英国人の好きな色らしい。派手なようで結構落ち着くカラーである。その後もいろいろな場所でこのくすんだ赤に出会った。ラウンジの壁には、古い写真や油絵、水彩画などがたくさん飾られている。

英国に到着して最初の朝食なので、当然ながらフル・イングリッシュ・ブレックファストをオーダーする。
イングランドのホテルでは、朝食代は宿代に含まれていることが多いと聞いていたので、ウェイターに確認したら、「Absolutely, Sir!」という英国的な答えが帰ってきた。
ベーコン、イングリッシュソーセージ、巨大なマッシュルーム、ブラックプディング、ベイクドトマト、スクランブルエッグ、フレッシュジュース、パンは全粒粉の薄切りパンのトースト。そしてもちろん紅茶。ブラックプディングは「血を固めたもの」と聞いていたので、少々不気味であったが、レバーのような味で悪くない。
ソーセージは噂に聞いていた通り、ちょっと「もちゃっ」とした食感であった。英国が本場の紅茶とマーマレードは、やはりうまい。


オールド・パーソネッジのラウンジにて朝食。右の写真で、マッシュルームの巨大さがわかります。


Avis Car Rental Office
食後、タクシーを頼む。AVISまで行ってレンタカーを借りるのだ。
タクシーを待っているときに、ブリティッシュネスを感じさせられる経験をした。私はいまや絶滅危惧種の喫煙家なので、ポータブルの吸い殻入れを持ち歩いているのだが、昨日からそのパウチに吸い殻が溜まってきたので、BARでそれを捨ててくれるように頼んだところ、「Certainly, Sir!」と、これまた英国的にビシッとした返事とともに、きびきびと仕事をし始めたのである。
まずエスプレッソマシンのスチームで丁寧にパウチの中を掃除し、その後、ティータオルでパウチの中まで丁寧に磨くのである。やることが徹底していて、ぬかりがない。こんなところも英国職人気質、と恐れ入る。このオールド・パーソネッジ・ホテルのスタッフはみんなプロフェショナルに徹していて、良い人たちだった。

タクシー到着後、すぐにAVISへ行ってもらう。
まずはもろもろの手続き。これもAVISのウェブサイトであらかじめ済ませてあるので、そのプリントアウトを見せればとても簡単に済んでしまった。
ガソリン(英国ではペトロルと言う)は、帰すときに満タン返しにしないオプションを選んでしまったが、約50ポンドと、ちょっと高かった。返す直前にペトロルステーションを探すのが面倒かな、と思ってこのオプションを選んだのだが、実際にはペトロルステーションはいたるところにあったし、自分で給油するのもたいして面倒なことではなかったので、失敗した。
その他の手続きはとても簡単。保険はすべてをカバーするフルコリジョンで頼み、申込書の該当欄をチェックするのみだった。

車種は、一応コンパクト・オートマチックというカテゴリーで予約しておいたが、何が出てくるのだろうか?
ウェブサイトでは、「ローバー416もしくは同等の車種」としか記載されておらず、どんな車が出てくるのかはっきりしなかった。結局出てきたのは、英国車ではなく、ドイツ車のポロ。
ポロやゴルフなどのVW車は、英国ではとても人気があるらしく、そこら中で出会った。エンジンは1.4リットル、ミッションはオートマチック。トランクが小さいので、「もっと大きな車に変更できないか?」と尋ねたら、「この季節、オートマチック車は、大人気でして、、、。」ということで不可能だった。
しかし、このポロのトランク(英国ではブーツと言うらしい)、奥行きが短い割には深さがあり、侮りがたい代物だった。私の特大のスーツケースと妻の中サイズのスーツケースを収納することができ、そのうえ若干の手荷物まで入れることができたのだった。


オックスフォードのAVISの前にて。シルバーのVWポロが今回の旅行の足となった。

「旅を楽しんでね!」とAVISのおじさんの見送られ、とりあえず日本で予習してきた地図を頭に浮かべながら走り出す。
走り出してしまってから、「さて、どういう風にオックスフォードを抜ければ良かったんだっけ・・・」と考える。我ながら、はなはだ頼りにならない。
最初のラウンドアバウトがあるウォルバーコートまでの道を確認するために、車を停めて地図を見たいが、なかなか止まる場所がない。路肩は、全部駐停車禁止の黄色二重線。
オクスフォード中心部から10 分ぐらい走り、交通量が落ちてきたあたりで車を道路脇に寄せて、地図をチェック。これからの目的地と、そこにいたる道路の番号、走り方を頭に入れる。
まず、バイブリー(Bibury)を目指す。ウィリアム・モリスいわく、「コッツウォルズで一番すばらしい村」とのこと、大いに楽しみである。


A40
オックスフォードの市街地を抜け、ウォルバーコートの最初のラウンドアバウトに出くわす。
「おおー、これがラウンドアバウトかぁ、、、。」と、さすがにちょっと緊張した。「左折だから、まずウィンカー(英国ではインディケーターと言う)を左に出して、一番外周に沿って左折、、、、、。」などと考えているうちに通過してしまった。
よく考えれば、左折は一番簡単だった。問題なく通過でき、無事にA40に合流した。
車のスピードはさすがに速い。片側1車線の道路だが、50マイル/h以上。ということは、80Km/h以上ということだ。でも、交通量は少なく、とても走りやすい。

ウィットニーの手前のサービスエリア(と言っても、ペトロルステーションと、リトル・シェフというファミレスしかない。)に入る。
詳しい地図を持っていなかったので、ロードアトラスA-Z地図帳を購入。

しかし、この後、地図はあまり使わなかったのである。
大まかなチェックをするときだけ見るだけで、走行中はほとんど見なかった。当初、「道に迷うのではないか」、とちょっと不安だったが、実際に走ってみると、あまり失敗しない。大体の方向と目的地の地名さえ分かっていればOKなのだ。
交差点・ラウンドアバウトに出くわすたびに、「これで迷ったら、許さん!」と言われてもしょうがないぐらい丁寧に行先表示が出てくるので、それにしたがって走るだけである。さらに、道路番号が頭に入っていれば、ほぼ無敵に近い。
ほとんど地図を見ることなく目的地まで行くことができるなんて、すごいことである。さすが自動車の歴史以前に馬車の歴史の長い英国、道路のナビゲーションには年季を感じる。


Bibury
バーフォードを過ぎ、バイブリーという標識が出てきたので、A40を左折。
田舎道ののどかな道、B4425をしばらく走ると、ほどなく写真で何度も見たコルン川とその橋のたもとのスワンホテルが見えてきた。その向こうにはライムストーンの静かな村が続いている。バイブリーに到着した。


バイブリーのスワンホテルの前にて。右はミル・アンティーク。

どこに車を止めたらよいか分からなかったので、とりあえずスワンホテルの駐車場に止める。
「Hotel Patrone Only=ホテル宿泊者専用」と書いてあるので、このままではまずい。村の中心部へパーキングを探しに歩き出す。橋を渡ってアーリントン・ロウのほうに歩いていくと、公共の駐車場を発見、早速、車を移動させる。バイブリー名物のアーリントン・ロウを歩いているとさすがに日本人ツーリストが多い。さすが有名観光地、バイブリーである。お互いに写真を写しあう。


かの有名なアーリントン・ロウ。右はB4425道路とコルン川。
このバイブリー、徹底して新しい建物がない。
すべて蜂蜜色の石造りの建物ばかり。小雨にしっとり濡れた村の小道を歩いていると、実にゆっくりとした気分になってしまう。石の壁にハンギングバスケットのカラフルな花が、とてもよく映える。どこにカメラを向けても絵葉書になってしまう。

ミル・アンティークというショップで、バイブリーのティータオルと指貫(Thimble)を購入。ティータオルは7枚で20ポンドと言われたので、思わず安いと思って買ってしまったが、実はそんなに安くはなかった。旅行中に判明するが、ティータオルの相場は、こういう観光地ものだったら2.5ポンド以下、時々1ポンド台のものも存在するからである。まあ、観光初日のご愛敬。^^;



Bansley
その後、庭園で有名なバーンズリー・ハウスへ向かう。
バイブリーから5分ほどのドライブでバーンズリー村に到着。
サイレンセスターに向かって進んでいくと、左側にバーンズリー・ハウスのサインが出てくる。うっかりすると見落としてしまうほど小さい。英国の道路では、こういった有名な観光地の看板はとても少ないし、あっても小さい。その代わり道路の行先表示は大きくはっきりと出ているのだが。
この村も、静かな蜂蜜色のライムストーンの魅力的な村だった。

この庭園は、ローズマリー・ヴェレイという普通の主婦が40歳のときに庭作りの挑戦した庭園だそうで、意外にコンパクト。30分もあれば十分に堪能できた。涼しい気候のせいか、日本ではとっくに終わってしまっているアジサイが満開である。バラも当然のごとく咲き誇っている。ゴテチャやチコリ、ダリアや菊の仲間も多い。


バーンズリー・ハウスにて。

外の庭園に出るゲートのところに、濡れた座布団のようなものが置いてあった。「なんじゃ、こりゃ、、、、、。」と近寄ってみると、消毒液を染み込ませたクッションだった。口蹄疫がまだ完全に終息していないようで、「外から戻る人は、必ずこの上に乗って、靴の消毒を済ませてください。」との事だった。


口蹄疫予防シートです。

外の庭園に出ると、大きな山葡萄のような木が生えている。
前を行くアメリカ人とおぼしきおじさんが、「これはあんたんとこのやつでしょ?」などと言う。ヘンなおっさんだな、と思ってその木のネームプレートを見ると、ジャパニーズなんたらカラント、となっている。「え、ほんと?いやー、こんなの今まで見た事ありません。」と言ったら、「あんた、ほんとに日本人?」と苦笑されてしまう。
香港に長期出張していたとき、「あんた、言葉さえしゃべらなければ、広東人かマレーシア人で通用するあるよ」と現地の人に言われたし、日本のホテルでチェックインするときも、時々英語で尋ねられるときがあるから、典型的な日本人顔ではないとは自覚しているのではあるが、いやはや。あまたある日本特産の木の名前なんて、全部知っている人なんて、そんなにいないと思う。


Bourton-on-the-Water
バーンズリー・ガーデンを出た後、ボートン・オン・ザ・ウォーターへ向かう。
B4425を途中で右折、A429へ。「至ノースリーチ」の行先表示を確かめる。このA429、とても A道路とは思えない、のどかーな田舎道である。
途中、強烈な坂道に遭遇した。ものすごい角度で降りたと思ったら、またものすごい角度で上る。高低差は30m以上、体感角度は45度ぐらいあるのではないか?A道路だから当然スピードは50マイル/h以上は出ており、そのスリルはジェットコースター並みだった。

A429からボートンへの標識に従い、右折。
しばらく落ち着いた住宅街を走っていると、「P」の標識を発見。パーキングが近い。
英国のドライブの際、未知の町に入るときは、この「P」もしくは「i」の標識を探すのが手っ取り早い。ちなみに「i」というのは、TIC(Tourist Information Centre)、ツーリスト・インフォメーション・センターのシンボルマークである。
時々、「P」と「i」と「トイレ」の表示が一緒の方向に出ている時もあるが、これらの「3点セット」が同じ場所にあると言うことで、とても助かる。パーキングに車を停めて、トイレに行って、情報を入手することが同時にできる。

ボートンの駐車場は広大である。
さすが、コッツウォルズでもっとも人気の高い観光地だけの事はある。Pay Hereと書いてある駐車券の発行機で、駐車料を支払う。
英国のパーキングは、この形式が多い。
駐車券発行機に駐車時間に見合うコインを入れると、「○時 ○分まで有効」と印字されたチケットというかステッカーというか、が出てくる。Pay and Displayと書いてあるので、それを外から見えるようにしておいてね、ということのようである。裏紙をはがすと糊がついていて、ウィンドウの裏に貼り付けろ、ということのようだが、実際に貼り付けている人はあまりおらず、ダッシュボードの上においてあるだけの人のほうがずっと多い。
後で聞いたら、時々見回りがやってくるので、ごまかさないように注意しろ、とのこと。罰金は50ポンドぐらいするらしい。


駐車券発行マシンと、チケット。(ホークスヘッドにて)

駐車場から村の中には、歩いて2〜3分と、近かった。
村に入ると、お約束のウィンドラッシュ川が目に飛び込んでくる。ここは、コッツウォルズのベニスと言われている村であり、その川があるからこそ単なるボートンだけではなく、オン・ザ・ウォーターをつけて区別している、という曰く因縁の川である。
確かに美しい村で、渋さよりも華やかさを感じる。観光客がバイブリーやバーンズリー・ハウスに比べるととても多い。
雨の勢いが強くなってきたので、手近なショップに入る。まずボートンに来たアリバイ証明のために、ティータオルと指貫を購入。雨が小止みなるとショップの外に出て、村を散策、また雨が強くなると手近なショップに入って雨宿り。ショップの数もとても多い。ちょっとにぎやかすぎるぐらいである。


ボートン・オン・ザ・ウォーター、ウィンドラッシュ川の橋の上にて。右はたくさんあるパブのひとつ。

時計を見ると1時過ぎ。
ヘビーなフル・イングリッシュ・ブレックファストを食べていても、さすがに小腹が空いてきたので、スナックでも食べたい。せっかく英国に来たのだから、フィッシュ・アンド・チップスの店を探す。
流行っているテイク・アウェイの店を見つけたが、とても混んでいたし、魚が巨大でもてあましそうなので、他のレストランへまわる。ボートンの入り口付近のレストランの表に出してある黒板に、フィッシュ・アンド・チップスの文字を発見。店もこぎれいだし、騒がしくなさそうだったので、そこに決める。
注文するのはもちろんフィッシュ・アンド・チップス。新聞紙ではなく、ちゃんとお皿に乗ったのがでてきた。レモンも添えてあり、テイク・アウェイのお店のに比べたら数段高級そうに見える。味も良かった。
時々、「味がついていないので、塩と酢をたっぷりかけないと食べられない」というフィッシュ・アンド・チップスにお目にかかる事があるが、ここのはちゃんとまともな味がついていた。テーブルの上にモルト・ビネガーの壜が置いてあったので、試しにかけてみた。うーん、ええぞ、こりゃ。日本の酢と違って、あまりむせないし、穀物の甘みを感じる。フィッシュ・アンド・チップスとの相性はパーフェクトである。


ボートンで食べたフィッシュ・アンド・チップス。右はモルト・ビネガーのボトル。


Broadway
食後、本日の宿泊地、ブロードウェイに直行する事にする。
ブロードウェイは、コッツウォルズの村の中でももっともショッピングの楽しいところだと聞いていた。テディ・ベア、紅茶専門店など、英国的なもので溢れているらしい。うーん、楽しみ。早く到着しないと、閉店時間になってしまう。

A429を走って、ものの10分でストウ・オン・ザ・ウォルドにやってきた。ここも、アンティークの掘り出し物が多くてショッピングの楽しい村だ、と聞いていたので、寄ってみたかったが、村の中に入ってしまうと最低でも1時間は出てこなくなるので、心を鬼にして先を急ぐ。

ストウのちょっと先の信号をA424に左折。
やがてA44 に合流。相変わらず片側1車線ののどかな田舎道。雨も上がり、日が射してきてまぶしいぐらいだ。葉裏の白さが眩しい、緑のトンネルの中をしばらく走る。やがて道路は丘を下り始め、目の前になだらかな丘陵地帯が広がってくる。
A44は大きくカーブを描いて高度を下げていくが、このカーブ、結構半径が小さくて、調子に乗って60マイルとかで走っていると危ない。もちろん、路面にも「カーブが近づくのでここでスピードを落とせ!」と、くどいぐらいに書いてある。

やがて、ブロードウェイ入り口のラウンドアバウトに到着。
左折して市街地に入り、30マイル/hに減速する。「ブロードウェイにようこそ!」と表示が出ている。5分ほど走ると、村のハイストリートに突き当たる。路上に白丸を描いただけのミニ・ラウンドアバウトだが、一応敬意を表してくるりと回って右折。おお、これがブロードウェイか!

まさしくその名前の通り、道幅が広い。と言っても、車道はそんなに広くなく、左右両側のグリーンベルトが広いのだ。
蜂蜜色の石造りの村だが、ここのライムストーンはバイブリーなどに比べると一段と黄色っぽく、落ち着いた雰囲気の中にも明るさが漂う。ボートンに比べると、ずっとシックで高級感のあるショップが道の両側に並んでいる。右側にひときわ大きな石造りの建物が現われる。本日の宿泊地、ザ・リゴン・アームズだ。


リゴン・アームズとポルシェ。右はリゴンの看板を拡大したところ。

ポロをホテルの前のパーキングロットに滑り込ませる。
ホテルのチェックインは、昨日とほぼ同じ。宿泊カードの名前確認、現住所サイン、名前の署名、翌朝の新聞の銘柄確認。今日は3階の部屋だが、エレベーターはない。ポーターに部屋まで荷物を運んでもらう。

部屋に入って驚いた。
素晴らしいスイートである。ベッドルームが2つある。おかしいなぁ、そんなに高級な部屋を予約したつもりはないんだが、、、、。明日のチェックアウトが恐い。^^;(実際には予約した通りの金額だったので、得をしてしまった。なんかの間違いだったんだろうか。)

また、ベッドのサイドテーブルの上には、ホテルの支配人からの手書きのカードがさりげなく置いてあった。たいしたことは書いていないが、さすが一流ホテルの心遣いである。
部屋の中は、ティンバー・フレームがいたるところに顔を覗かしており、英国の田舎特有の雰囲気で満ち溢れている。デコレーションもくすんだ赤を基調とした英国の伝統的なインテリア。家具も相当に古いもので、傷の一つ一つに味わいがある。そう言えば、ルーム・キーも巨大な木製の柄がついた、時代を感じさせるものだった。


Lygon Armsのベッドルーム。扉も年代を感じさせる無骨な木製。右はブリティッシュなバスタブ。

このホテル、創業は16世紀の馬車宿だったらしく、いまだにその当時の調度品がホテル内のそこかしこに残っおり、良い味を出している。ラウンジもいくつあるのか分からないぐらいたくさんある。建て増しを繰り返していくうちに、無造作に増えていってしまったのだろう。


リゴン・アームズのブリティッシュなラウンジのひとつ。サイドテーブルには手書きのウェルカムメッセージ。

一休みして、さっそくショッピングに出かける。
単なるお土産屋さんは少なく、英国的センスに溢れた専門店が多い。とりあえず町外れのテディ・ベアショップ、Broadway Bears & Dollsを覗く。ここは妻のリクエスト、「くまが買えるところに行きたい」、に基づいて事前調査してあった店で、コッツウォルズ随一の品揃えを誇る店であるらしい。
ショップの前には大きなベアが立っている。このベアは、「古くなったテディ・ベアの修理も引き受けます。」ということをアピールするための看板ベアで、看護婦さんの格好をしている。中はさほど広くないが、そこらじゅうベアだらけ。妻は目を輝かせて一匹ずつチェックしていた。


Broadwayのショップはセンスの良い店が多い。右はBroadway Bears & Dollsにて。大きな看護婦ベアが迎えてくれる。

その後、アンティーク屋さん、リバティ・ショップ、陶器屋さん、紅茶専門店などをぶらつき、かなり英国経済に貢献してしまった。^^;

陶器屋さんでは、仕事のインセンティブで使うため、大量のコースターを買ってしまう。後日、まとめて日本に送るつもりだったので、「カートンボックスをもらえますか?」と尋ねたら、ここのおやじさんはとても親切な人で、「他に送るものがあるんだったら、お店に持っておいで。素人がパッキングすると、せっかくの陶器が割れたりするからね。その点、わしは毎日、世界のいろんな所に商品を送っているから慣れとるよ。」と申し出てくれた。ラッキーである。翌日お昼ごろに他の荷物も持ってくることにする。

紅茶専門店は、ティサンズという名前で、結構有名な店らしい。
すでに閉店時間を大幅に過ぎ、ドアが閉まっていたが、こちらが覗き込んでいたら、店主とおぼしきおじさんが、段ボール箱を抱えて出てきた。「たまたまゴミを捨てに出てきたら、お客さんに出会ってしまったよ。商売しなくっちゃあ。」という感じで、さりげない。
「もうおしまいですか?」と聞いたら、にっこり笑って「いえいえ、お客さんがいるんだったらもちろん空いていますとも。」と開けてくれた。英国人は、杓子定規な人とそうではない人が極端であるが、ここのオーナーは後者だった。

このティサンズ、日本ではまずお目にかかれない、妙な形のティーポットがたくさん置いてあった。欲しかったが、実用性を考えて、普通のビクトリアン・ティー・ケトルを購入。また、この店のオリジナルの「コッツウォルズ・アフタヌーン」というブレンド・ティーの香りをかがせてもらったら、オリエンタルな素晴らしい香りだったので、ついお土産用に購入。随分おまけしてくれた。


ティサンズの紅茶とティーポットのラインナップ。そしてティサンズの店先。ウィンドウを覗いていたらドアを開けてくれた。

ホテルに帰り、7時半からディナー。
一応それなりの衣装に着替えてメイン・ダイニングへ。妻はあまりおなかが空いていないという事だったので、私だけスターターを頼む。
トマトとバジルのテリーヌ風のサラダ。二人でシェアするから、と言ったら、ウェイターはちゃんと二つのお皿に分けて盛ってきてくれた。ジンジャー風味の付け合わせは絶妙の味だった。メインコースは妻が現地のチーズを使ったリゾットを注文。私はコッツウォルズ・ラム。柔らかくて臭みもなく、夏野菜のソースとともにおいしかった。パンはトマト味のバンズ、ワインはシャルドネ。

デザートは、妻はレモンタルト、私は夏のベリーのミルフィーユをオーダーし、メイン・ダイニングのすぐ隣りのラウンジに移動する。
英国の古いホテルでは、食後のデザートは、レストランではなく別ラウンジに誘われることがある。レストランの回転も良くなるし、ゲストはよりくつろげるので、良いサービスだと思う。
英国のレストランでは、コーヒーをガラス製のポット(ハリオとか言うメーカーのものが有名)で出すことが多い。日本ではこのポットは紅茶を出すときに使うが、英国では、紅茶は陶器、もしくは銀製のポットにしか入れないようだ。紅茶に比べてコーヒーの扱いにはこだわりが少ない、ということか。

いずれにせよ、スターターからデザートまで美味だった。さすが、The AAの赤ロゼット2つのレストランである。英国はまずい、と言う覚悟をしてきたのに、今のところ、はずれがない。予習の効果は絶大だが、お財布には優しくないなあ。^^;


ラウンジでのコーヒータイム。英国ではコーヒーポットはほとんどガラス製。

部屋に帰り、PCを立ち上げ、ダイヤルアップ。このホテルも何の問題もなく、Biglobeの英国アクセスポイントにつながる。メールチェックとコレポンをそそくさと済ませる。便利だけど、休暇先まで仕事が追いかけてきているというのは、、、、、。うーむ。

ここもバスルームは完璧。古めかしいホテルだが、給湯施設は最新式のものを使っているらしい。熱いお湯がじゃんじゃん出る。疲れたが、充実した一日だった。12時半就寝。
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