Winchelsea, East Sussex (June 4th, 2008)
ウィンチェルシーはライから東に10分ほど走ったところにある町です。閑静な住宅街が広がっていて、こんな感じのバラの美しい住宅が多かったです。 |
ウィンチェルシーを訪れたわけは、このセント・トーマス教会に行きたかったからです。 英国南部にはあまり魅力的な廃墟がない・・・。私もそう思っていました。ところが、このセント・トーマス教会の壊れっぷりはなかなか絵になります。 かつて、ウィンチェルシーはもっと南にあって、ライよりもずっと大きな町だったのですが、1250年と1287年の高潮で全滅してしまいました。 エドワード1世はより高台に新しいウィンチェルシーを作ることにし、その中心にこのセント・トーマス教会を建てました。 最初の計画ではこの廃墟になっている部分の向こうにも建物を作るはずだったのですが、フランスからの侵略などがあって、結局未建築のまま今日に至っているそうです。 |
700年以上の歴史を持つ教会には、外壁にも何かしらの魅力があります。 |
この教会を訪れた理由は廃墟を見るためだけではありません。 アーツ・アンド・クラフツ・スタイルの異端児的デザイナー、ダグラス・ストラチャン(1875-1950)のデザインしたウィンドウで埋め尽くされているからです。 ダグラス・ストラチャンは、その名前からわかるようにスコットランドに生まれました。しかし北の人の割には、その情熱的な表現は圧倒的です。 |
ストラチャンの流れるような曲線が生かされたデザインです。 |
アーツ・アンド・クラフツ・スタイルといっても、ストラチャンのそれはバーン・ジョーンズやクリストファー・ホールに比べると、はるかにダイナミックです。 |
このデザインあたりになると、よりコンヴェンショナルなスタイルになってきます。同時代を生きたステンド・グラス・デザイナー、エドワード・ウーアやロバート・アニング・ベルに似た感じの印象を受けます。 |
このあたりはヘンリー・ペインっぽいでしょうか。まあ、アーツ・アンド・クラフツ系のステンド・グラス・デザイナーは相互に影響を与え合っていたのでしょうけど。 |
これもコンヴェンショナルなすたいるですが、表情などに彼の個性がしっかり表れています。 |
これが一番正統的なアーツ・アンド・クラフツ様式のウィンドウかもしれません。 |
しかし、こういう激しい情熱を秘めたデザインは、ストラチャンの独壇場です。 |
未完成に終わったセント・トーマス教会ですが、完成していたらさぞかし立派な教会になっていたでしょう。 |