Lanercost Priory, Cumbria
カンブリアの北部、カーライルの東、ハドリアヌスの長城の近くに存在する村がラナーコストです。 この村を有名にしているのは、なんと言ってもこのラナーコスト小修道院でしょう。1166年にヘンリー2世によって基礎を築かれ、1220年に完成しました。 ハドリアヌスの長城に近い立地のために、何度となくスコットランドとイングランドとの戦争に巻き込まれ、1306年には、致命傷を負ったエドワード1世がここで6ヶ月間、療養したそうです。 最終的には。1537年にヘンリー8世の修道院解散令によって破壊されてしまいました。 |
1740年になって、このプライオリィの廃墟を部分的に教区教会として復活させることが決まり、Anthony Salvinがその修復を担当し、今では地域の教区教会として使用されています。 建物の後半分は廃墟ですが、前面は修復されており、こんな感じです。たまたま訪問したときは、お葬式が終わったところで、たくさんの会衆であふれていました。 |
また、この小修道院には、モリス商会の作成したステンドグラスが数枚あります。 これはそのひとつ、モリス商会のチーフデザイナーだった、バーン=ジョーンズの作品、聖ルカです。1890年に設置されました。 |
上記の拡大です。モリス商会の定番デザインです。 なお、聖ルカは医療の守護聖人だそうです。描かれるときは、牛とともに描かれるのがひとつのお約束になっているようです。 |
こちらもバーン=ジョーンズのデザインによるモリス商会の作品です。このプライオリィにあるモリス商会の窓のうち、一番古いもののようです。 |
こちらもバーン=ジョーンズのデザインによるモリス商会の作品ですが、すでにウィリアム・モリスもバーン=ジョーンズも亡くなる直前のころの作品のため、他の2枚に比べると硬さが目立ちます。 |
上記のウィンドウの拡大です。 |
また、この小修道院にはアイルランド出身のステンドグラス作家、エヴィ・ホーンの作品もありました。 彼女は19世紀末に生まれた、比較的新しい女流作家です。棟方志功を思わせる力強く、土臭い作風です。 |