Compton, Surrey



Watts Gallery

コンプトンは、ギルフォードの南西にある小さな村です。

写真は、この村の名物、ワッツ・ギャラリーです。

19世紀ビクトリア朝を代表する画家・彫刻家、George Frederic Watts (1817-1904)が作った、彼個人のギャラリーで、初期のアーツ・アンド・クラフツ様式の建物です。



Watts Gallery - Inside

ワッツと言えば、Tate Galleryにある"HOPE"が有名です。目隠しされた女性が、わずか1本の弦を残すだけとなった竪琴を抱え込むようにして弾いている、せつなくなるほど印象的な絵ですが、その素描がワッツ・ギャラリーにも置いてありました。

また、彼が得意とした象徴主義的な絵画だけでなく、肖像画や風景画も素晴らしいものがありました。さすがに‘England’s Michelangelo.’と言われただけの画家です。



Lychgate of Watts Mortuary Chapel

また、ワッツギャラリーの近くには、ワッツ夫人のMary Seton Wattsが作った、チャペルがあると聞き、さっそく行ってみました。

ワッツ・ギャラリーの前の道を北進し、右に曲がってしばらく行くと、こんなゲートが見えてきます。このゲートの上が、ワッツ・モーチュアリー・チャペルでした。



Watts Mortuary Chapel

これがワッツ・モーチュアリー・チャペルです。

Mary Seton Fraser-Tytler は、36歳のときに、69歳のGeorge Frederic Wattsと結婚しました。ワッツの最初の奥さん、Ellen Terryも、30歳近く年が離れていましたから、ワッツはずいぶん年下好みだったようです。

メアリーの結婚後の名前がMary Seton Wattsで、ご主人の存命中の1895年に建てたチャペルです。

アーツ・アンド・クラフツ・スタイルの進化系というか、英国には珍しいアール・ヌーヴォー・スタイルのチャペルです。




Carving of Watts Mortuary Chapel

メアリーはCompton Potters Guildという陶工のギルドを組織し、また、コンプトンの村のArts & Crafts Guildも立ち上げました。

その陶工たちの協力を得て作り上げたのが、このチャペルの見事なプラスたー・ワークです。

うねうねと流れる曲線は、アーツ・アンド・クラフツの伝統を受け継ぎながら、より新しい時代の流れ、アール・ヌーヴォーを感じさせるものとなっていました。



Door of Watts Mortuary Chapel

こちらはチャペルのドアです。一見、ノルマン・スタイルのジグザグ模様に見えます。ケルト美術の影響もあるようです。しかし、ドアの彫刻を見ると、アール・ヌーヴォーの流れにあることがわかります。



Mural in Watts Mortuary Chapel

これはチャペル内部の壁画です。ラファエル前派的な表現を発展させた、アール・ヌーヴォーの感覚です。



Ceiling of Watts Mortuary Chapel

こちらは天井です。他に類を見ない、ユニークな作品でした。