James Herriot - Omnibus Books
オリジナル作品集のIF ONLY THEY COULD TALK とIT SHOULDN'T HAPPEN TO A VETの2冊をまとめ、さらにLET SLEEPING VETS LIEからの3章を足した合本で、アメリカで出版されました。 ヘリオット先生がダロウビーの町にやってきて、スケルデールハウスでシーグフリードやトリスタンと楽しい独身時代を過ごし、ヘレンと結婚するまでの時期のエピソードが集められています。 この合本のアイデアは、1970年にロンドンにやってきたトム・マコーマック氏によって考え出されたものです。 当時、ニューヨークのセント・マーチンズ・プレスの重役だったマコーマック氏は、ロンドンに「お金になりそうな本」を探しに来ていたのだそうです。当時のセント・マーチンズ・プレスの経営は風前の灯で、もしヒット作に恵まれなければ倒産の憂き目に会うところまでいっていたのだそうです。 マコーマック氏はロンドンでデヴィッド・ハイアム・アソシエイツのデヴィッド・ボルト氏に会い、IF ONLY THEY COULD TALKを手渡されます。しかし、彼はその本をロンドンから帰ってから長い間読まずにベッドサイドに積み重ねていただけでした。 この本の値打ちを発見したのは、マコーマック氏の奥さん、サンドラさんです。 ある日彼女は、ベッドサイドに積み重ねてあったこの本を手に取り読み始め、たちまちのうちにとりこになってしまいました。そして、夫に向かって「この本を読まなきゃだめよ!そしてすぐに出版して頂戴!さもなきゃ、ぶっ殺すわよ、このおたんこなす!」と言ったそうです。マコーマック氏は奥方の剣幕にびっくりして早速読み始めたのですが、読み進むにつれて「この本こそ、セント・マーチンズ・プレスを救う本だ!」と確信するにいたったのでした。 しかしながら、分厚い本を好むアメリカの読者にとっては、IF ONLY THEY COULD TALKはあまりに短い、とマコーマック氏は考えました。さっそくマコーマック氏はヘリオット先生のニューヨークでのエージェントにコンタクトをしてみると、ちょうど第2作目のIT SHOULDN'T HAPPEN TO A VETが完成したとのニュース。彼は早速この2冊を1冊の分厚い合本にして刊行することを考えたのでした。 また、マコーマック氏はエンディングについても物足りないものを感じていました。 一作目も二作目も淡々としたエンディングだったので、アメリカ人には食い足りないと思ったのです。マコーマック氏は早速アルフ・ワイトにコンタクトし、もう少しドラマティックなフィナーレを追加してもらえないか、と依頼したのです。 アルフもマコーマック氏の提案に同意し、ヘリオット先生とヘレンの結婚に関する最後の3章を書き加えたました。 その結果は素晴らしいもので、マコーマック氏によれば「(映画の)サウンド・オブ・ミュージックを思わせるような輝かしいエンディング」となったのです。(なお、英国版では、この追加の3章は3作目の"LET SLEEPING VETS LIE"に収録されています。) また、マコーマック氏は英国で発行されたときの本のタイトルにも満足していなかったので、合本にするにあたり違うタイトルをつけたいと思っていました。 たまたまアルフの娘、ロージーが「ILL CREATURES GREAT AND SMALL(病気のすべての生き物たち)はどうかしら?」と提案したとき、マコーマック氏たちも 「ALL CREATURES GREAT AND SMALL(大小すべての生き物たち)というタイトルを考えていたのだそうです。アルフはロージーのアイデアを採用したかったのですが、結局後者がこの合本のタイトルとなりました。 ちなみにこのタイトルは19世紀のアイルランドの詩人、セシル・フランシス・アレグザンダーによる詩からとられております。 その歌詞は"All things bright and beautiful, All creatures great and small, All Things wise and wonderful, The Lords God made them all"となっているのですが、その後のヘリオット先生の本のタイトルもここからとられました。 この詩の本来の題名は、"A Rich Man And His Castle"だったそうですが、ヘリオット先生の本の知名度により、最近ではもっぱら"All Things Bright And Beautiful"という名前で呼ばれることが多くなってしまいました。また、この詩はメロディをつけられて英国国教会の聖歌第573番として取り上げらているそうです。 この合本は1972年11月初旬に発売され、11月12日のシカゴ・トリビューンの日曜版書評欄のアルフレッド・エイムズの評価によって、その人気に火がつきました。12月14日にはニューヨーク・タイムズのアナトール・ブロヤードの非常に好意的な書評も登場し、年が明けて1973年1月にはタイム・マガジン誌やニューヨーク・タイムズ誌のベストセラーリストに名を連ねたのです。 ハードカバーの発行から数ヵ月後には、バンタムからペーパーバックも登場し、リーダーズ・ダイジェストからも要約版が出版されました。いまや、ヘリオット先生の人気は決定的なものになり、1973年はアルフ・ワイトとトム・マコーマックにとって、素晴らしい年になったのでした。 邦訳は「ヘリオット先生奮戦記(ハヤカワ文庫、大橋吉之輔訳)で、一編の抜けもなく、"ALL CREATURES GREAT AND SMALL"のすべてのエピソードが翻訳されています。 |
オリジナル作品集のLET SLEEPING VETS LIE(ALL CREATURES GREAT AND SMALLに収録された3編を除く)とVET
IN HARNESSの2 冊をまとめ、合本にしたものです。 |
とても美しい本です。アメリカのセント・マーチンズ・プレスで企画出版されたヘリオット先生のベスト版です。 |
犬の話を集めたオムニバスです。 |
猫の話を集めたオムニバスです。 |
犬の話を集めたオムニバスです。
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ヘリオット先生の死後に出版された、最後のオムニバスです。
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JAMES HERRIOT'S ANIMAL STORIES (1997)
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JAMES HERRIOT'S YORKSHIRE REVISITED (1999) |